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の受け入れ先になりたい。この青少年の奉仕活動について、ドイツの例を紹介してみたい。ご存じのようにドイツでは徴兵制をとっている。しかし、一定の条件の下に、連邦軍での兵役に代えて、民間で代替役務をすることが認められる。従って健康上の理由がある場合は別として、18歳以上の男性は全員、兵役なら10ヵ月、代替役務なら13ヵ月のどちらかにつくことになる。兵役忌避者の割合は約2割、人数として12万人から13万人いる。この人達は、主に福祉の分野で働く。彼らがいないとドイツの福祉行政は立ち行かないとまで言われている。これは、義務なのでボランティア活動ということはできないが、そうであっても、若者の自立心を育てるのに大いに役立っているという。そのほかの制度として、?@ボランティア・ソーシャルイヤーと?Aボランティア・エゴイヤーがある。前者は、17歳から27歳迄の若者が、就職前あるいは大学入学前の最長1年、最短6ヵ月間、病院、老人ホーム、青少年センター等でボランティアとして働くものである。毎年約7,000人がその働く場所を得ているが、希望者はこれをずっと上回るという。この制度は、1964年に制定された「ボランティア・ソーシャルイヤー振興法」に基づく。後者は、1993年から始められた制度で、「ボランティア・エゴイヤー法」による。今日、全国で900名以上の16歳から27歳迄の青少年が環境保護施設等で仕事を手伝っている。期間は前者と同じである。これら2つの制度は、全く参加者が任意に選択したもので、正にボランティア活動そのものである。これらのボランティア活動に参加する人は、女性が多いという。我が国でもこうしたボランティア活動を制度として導入することを考えるべきである。青年の家は、そうしたことを予測して、今からボランティアの受け入れを始めるべきではなかろうか。
■親子利用の促進
私が、日独青少年交流に長年たずさわって来た中で考えさせられたものの一つは、親子での休暇の過ごし方である。大雑把に言うとドイツでは年間4週間の休暇が取れる。ところで子どものいる家庭の休暇の過ごし方であるが、一家で山や海、湖へ行って一夏を過ごすのが普通である。こういう人達を受け入れる施設も大変整っている。時折日本は家族関係が密であるが、欧米ではバラバラだなどという言葉を聞くが、これは極めて疑わしい。単に同じ屋根の下で一緒に暮らしているだけでは、良い親子関係はできない。4週間も親子が日常生活を脱して、自然の中で共通体験をする、それを幼児から一人立ちする年齢迄続ける。これは親子にとって何にも代え難い日々なのではあるまいか。成人すれば勿論、別々に暮らしているが、週末等に親子が会うと、実に楽しそうに会話を交わしている。これは、両者にこうした共通体験という基盤があるからではなかろうか。日本の休暇の過ごし方は残念ながら貧弱である。しかし少しでも多くの親子が共通体験をする機会を作る必要がある。子どもの健全な発達のために、これは不可欠なことである。私は、青年の家が、こうした親子での利用の場になることを期待している。
■国際交流の中心に
外国から沢山の青少年が来日している。しかし、そのうち何人位が青年の家に泊まっているであろうか。恐らく、その割合は相当低いと思われる。私はできるだけ多くの外国青少年に青年の家を利用して貰いたいと思っている。そし

 

 

 

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